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resonance 共鳴/共振

2015.9.28

『理系のための研究者の歩き方』出版の背景

 現代社会が一層高度化・複雑化するなか、研究者や技術者、専門家の必要性・重要性がますます高まっています。では、研究者や技術者、専門家をめざす若い人たちの現実に目を向けるとどうなっているでしょうか?
 研究者に着眼すると、かなり危機的な状況だと言えます。理学・工学系の大学生・大学院生の大半が、また医学・歯学・薬学・農学系の大学生・大学院生の一部が研究者になりたいと考えていますが、その実情はというと、最高学歴の大学院博士課程を修了しても就職できない「ポスドク問題」が蔓延するに至っています。この現実を受けて「博士(後期)課程には進学すべきでない」といった言説が広まり、最近では「博士離れ」が起こっています。狭き門の研究者をめざすよりも安定した企業に早いうちに就職しておこうというわけです。最近では優秀な学生までもが研究の世界から離れる状況が広がりつつあります。
 では、本心から研究者をめざしたい大学生・大学院生はどうすればいいのでしょうか。大学生や大学院生にとっては人生を左右する切実な問題にもかかわらず、研究職に就くのは個別性が強いこともあって不透明なところが多いのが実情です。
 そこで大学生や大学院生、ポスドクなどが定年制の研究職に就くにはどうすればいいのか、不透明な部分にメスを入れて明らかにしたのが『理系のための研究者の歩き方』です。同書では研究職を大学教員、国立研究開発法人研究所等の研究員、企業の研究所・研究開発部署の研究員・社員とし、それぞれのキャリアパスと必要となるスキル、ノウハウが詳細に集積されています。大学・国研等の研究者や企業研究者をめざしている人はもちろん、近い将来の進路を考えている人にも必ずや役に立つものと考えています。
 

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p12-13

p.274-275
(麦人社/通山和義)